肝臓に脂肪を貯めない!

■脂肪肝改善〈運動〉

●肝機能低下で運動していいの?

肝機能が低下した場合には、肝臓を休め、機能回復させることが1番とされているので、運動よりも、まずは休むことが必要になります。ところが、肝機能の低下の原因が脂肪肝であった場合には、運動をして肝臓に溜まった脂肪を減らすことで改善していけるようにするのが良い方法なのです。

●肝臓は血中の中性脂肪のコントロールをしている

正常な状態では肝臓の中には3%から5%の中性脂肪が含まれています。肝臓には体内で過剰となった脂肪を蓄積する働きがあり、血液中の中性脂肪が低下したときには肝臓から放出されバランスをとっているのです。

●脂肪肝はフォアグラ

それが脂肪肝と診断されたときには、肝臓に含まれている5%を超え、悪化すると中性脂肪は30%以上にも達することがあります。これは世界の3大珍味の1つであるフォアグラのようなもので、ガチョウに過剰に栄養を与えて肝臓に脂肪を蓄積させて肥大させたのと同じ状態が脂肪肝なのです。

●運動で肝臓の脂肪を減らす

脂肪が蓄積された肝細胞は、本来の働きが低下するため、体内の脂肪を減らして、肝臓の脂肪を減らすことができる運動は、健康の維持のために積極的に取り組むべきところだといえます。

●2つの運動

運動は、エネルギー供給の違いから有酸素運動と無酸素運動とに大きく分けることができます。有酸素運動は、その名前の通り体内に酸素を取り込みエネルギーを供給する運動のことで、それに当たるのはウォーキングやジョギング、サイクリングなどです。無酸素運動は、エネルギー供給に酸素を必要としない運動で、短距離走やウェイトトレーニングなどが、それにあたります。

●脂肪肝改善の運動

運動をするときにエネルギーとなっているのは、血液中のブドウ糖と中性脂肪です。無酸素運動をした時には、すぐにエネルギーになるブドウ糖が多く使われます。その時にエネルギー配分は個人差がありますが、ブドウ糖80%に対し中性脂肪20%位です。しかしブドウ糖が大きなエネルギーとなるのは10分から15分の間でそれを過ぎると中性脂肪をエネルギーとして多く使うようになります。特に脂肪肝の改善を考えるならば中性脂肪を多く使うため10分から15分を超える運動時間が必要になってくると言われています。

●脂肪肝予防と改善

脂肪肝の予防と改善のためにどれぐらいの運動すれば良いのかと言う事ですが、日本肝臓学会の「脂肪肝の診察ガイド」によると運動の種類としては、やはり有酸素運動が勧められています。実施する時間は毎日20分以上、強度としては目標の心拍数が「200ー(年齢)×(
60%~70%)」とされています。

ウォーキングの場合、妥当なのはスタスタと勢い良く歩く程度の運動量です。

●毎日運動できなくとも良い

脂肪肝の解消には、毎日の運動ができない場合には週3回程度で、1日の運動も数回に分けて行っても効果がある程度期待できると診断ガイドで紹介されています。この程度の運動でも効果があるのは、10から15分間の運動をして、ブドウ糖中心から中性脂肪中心に燃焼が切り替わった後は、運動を終えてからも中性脂肪がエネルギー源として使われ続けているからです。

●時間は短くても運動の回数を増やす

中性脂肪は筋肉細胞の中でエネルギー化されていますが、その時に働いているのはリパーゼと言う酵素です。この酵素は酸素を使って脂肪を燃焼させるので、有酸素運動で脂肪を効果的に燃焼させるのです。

リパーゼは運動を終えてから30分間は、徐々に働きを低下させながらも働き続け、脂肪を燃焼させています。10分から15分間の運動をすれば、その後も脂肪が燃焼するので、時間は短めでも運動の回数を増やすことで効果を上げることができるのです。