肥満と高血圧の関係

●内臓脂肪も大きな原因

高血圧の原因は、遺伝や食塩の取りすぎ、過度の飲酒やストレスなどが挙げられますが、内臓脂肪の蓄積も大きな原因となっています。内臓脂肪が蓄積すると悪玉の生理活性物質のアンジオテンシノーゲンが分泌されます。この生理活性物質はインスリン抵抗性を引き起こすことで、血糖値を上昇させることが知られていますが、それと同時に血管を収縮させ、さらに血液中の塩分濃度を高めるために、血圧を上昇させてしまうのです。さらに内臓脂肪からはHB-EGFと言うサイトカインが分泌され血管を分厚くし硬くする働きがあるので血圧を上げる方向に進みます。

●肥満による意外な高血圧の理由

太っていることで血圧が上昇する理由は、それだけではありません。体脂肪が多くなることで、仕組みとしては実に簡単なことが体の中で起こっているのです。肥満になると、血管の外側にある脂肪細胞が膨らむことになり、血管が圧迫されて血液が送り出されたときに、弾力性を持って膨らみにくくなります。そのために血液による圧力が血管に強くかかるようになって、血圧が高くなっていくのです。

●肥満によるホルモン分泌が高血圧に

また肥満になると、脂肪細胞の中に溜まっている脂肪を血液中に放出するために、交感神経の働きが盛んになり、脳からアドレナリンが多く分泌されるようになります。アドレナリンは血圧を上げるホルモンでもあるので、多く分泌されるほど血圧が上昇していくのです。

●日本人は元来高血圧民族

日本人は周囲を海に囲まれて塩には困ることのない食生活を送ってきました。そしてその塩を多くの種類の保存食に使用してきた歴史があります。そのようなことから、日本人に高血圧の人が非常に多いと言われており、予備軍も含めて4000万人に達するとも言われています。

●高血圧の人は努力を!

塩分の摂取量は1日平均10グラムを超えている現実と、カリウムの摂取量をもっと多くしなければならない状況があります。また運動においても特に最近は経済発展とともに、以前のような運動が奪われ運動不足と言う社会環境の中に存在します。そして今回の話題でもある肥満。特に内臓型肥満になることによって血圧を上げるサイトカインの分泌異常を起こすことがわかっており、肥満を解消することによって血圧を下げることも可能なのです。