胃液の発見

●猟師の喧嘩が胃液を発見

1820年頃(江戸時代)アメリカのミシガン湖の中に浮かぶ島で事件が起こりました。それは1軒の飲み屋でライフル銃の打ち合いがあったのです。酒屋で飲んでいた2人はどういうわけか喧嘩になり、一方が猟銃で撃たれると言う悲惨な事件が起こりました。撃たれた方は脇腹を撃たれて臓器が飛び出した状態でした。それでも一命を取り止めました。

●脇腹に穴が開いた状態で治療

主治医のウィリアムボーモントは6年間にわたってこの記録をつけています。脇腹に空いた穴そして胃にも穴が空いていました。ボーモント医師は、胃の中に非常に強い酸が分泌していることを発見します。そして穴の開いた胃に、いろいろな食品を糸で結んで入れることによってどれぐらいの時間で消化するかを記録しました。彼の記録によると・・・。

牛乳は2時間で消化
パンは3時間30分で消化
目玉焼きは3時間30分で消化
ビフテキは3時間から6時間で消化

ウィリアムバーモント博士は胃は非常に強い酸で覆われていて、食べ物が食道から胃に入り、そして胃の強い酸によって分解されると言うことを発見したのです。これが世界で初めて胃液の発見となりました。

昔は胃は、石臼のようなものだと考えられていたり、もしくは貯蔵庫みたいなものだとも考えられていたりしました。このミシガン湖で起こった猟銃の打ち合いによって、初めて胃の中に胃液の存在を発見し、その胃液が私たちの食べた食品を分解し消化していることを発見したのです。

今では当たり前の事ですが、発見されたのはつい200年位前の出来事でした。

●最近ではここまでわかっている胃液とは

私たちが何か食べ物を食べ咀嚼を始めると、胃が準備に入ります。胃の壁にクレーターが大きな口を開けそして3種類の粘液を分泌し始めるのです。1つは塩酸(PH-2と強酸で亜鉛でも溶かす力がある)、そしてペプシノーゲン、胃のバリアを作る粘液。この3種類がクレーターから分泌してきます。

ペプシノーゲンは塩酸と一緒になってペプシンと言うタンパク質分解酵素に変わり、胃に入ってきたタンパク質を分解消化をします。胃では脂質や糖質はあまり消化する事はありませんが、タンパク質は胃で消化するのです。ペプトンと呼ばれるポリペプチドに分解します。

そして、さらにこのタンパク質は小腸に入りアミノ酸まで分解されて絨毛から吸収されることになります。