ストレスは身体に良い!?

●ストレスは何?

カナダのセリエ博士が1936年に“ストレス学説”を発表したことから、医学の世界でもこの言葉が使われ始めました。医学的には、外からの刺激に対するからだやこころの反応のことを“ストレス反応”と呼び、その反応を生じさせる刺激(ストレスの原因)のことを“ストレッサー”と呼んでいます。一般に言うストレスはこの両方の意味を含んでいます。

●ストレスは健康に悪影響だ

ストレスは健康に非常に悪く、数多くの生活習慣病を誘発する要因になっていると言う実験結果も多く発表されています。過去8年間のアメリカでのストレスが発端と思われる病気で亡くなった人の数は18万2千人、と言う報告もあります。しかしストレスのない社会もこのような中では考えられないので、どのようにうまくストレスと付き合いながら生活をするかということが最も大切なのではないでしょうか。

●ストレスは体に悪いものではなく、「ストレスは体に悪い」と思うことが体に悪影響を及ぼす

「ストレスは健康に悪い」と思う人だけ、ストレスが健康に悪影響を及ぼすことがわかりました。1998年にアメリカで、3万人を対象としたストレスに関する調査が行われました。
・1年間でどれくらいのストレスを感じたか?
・ストレスは健康に悪いと思うか?
の2つの質問を行い、8年後の追跡調査を行いました。
その結果、強度のストレスがある場合、死亡リスクが43%高まることがわかりました。
しかし実際に死亡リスクが高まった人は「ストレスは健康に悪い」と考える人だけで、「ストレスは健康に悪くない」と考える人はストレスによる死亡リスクが上昇しませんでした。

●「ストレスは体に良い」と思うことでDHEAが分泌され、うつ病や心臓病にかかりにくくなる

コルチゾールとデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)というストレスホルモンの量を計りました。
この2つのホルモンには、コルチゾールの割合が増えると免疫機能の低下やうつ病の症状が表れ、DHEAの割合が増えるとうつ病、心臓病などのストレスに関係する病気にかかりにくくなるという関係があります。
その結果双方ともコルチゾールの量は増えていましたが、「ストレスは体に良い」と説明された参加者のほうが「ストレスは体に悪い」と説明された参加者よりもDHEAの分泌量が増えていました。
これにより、「ストレスは体に良い」と思っている人のほうがうつ病や心臓病などにかかりにくくなることがわかりました。

このようなことからストレスは体に悪いものではなく、「ストレスは体に悪い」と思うことで体に悪くのであって、ストレスには他者とのつながりが強まる良い面もあることがわかります。
「病は気から」のことわざは本当のことだったのです。