免疫力は、正義の味方

私達のカラダは、日々、無数の外敵にさらされています。空気の中や食べ物の中にも、細菌やウイルスなどたくさんの微生物がいて、絶えず体内への侵入の機会をうかがっています。しかも、敵はカラダの外側だけではありません。たとえば、カラダの中では毎日のようにガン細胞が発生。カラダを乗っ取ろうと企んでいます。
このような内外の敵からカラダを守っているのが、免疫力です。私達は生まれたその瞬間から、この免疫力を武器に、無数の敵との戦いを繰り広げているのです。
生まれたばかりの赤ちゃんにも、基本的な免疫力が備わっています。これは「自然免疫」と呼ばれています。
しかし、この自然免疫だけでは、長い一生を無事に乗り切ることはできません。途中でいろいろな病気にかかりながら、それを一つずつ克服。その過程で私達のカラダは、病気に対する新しい抵抗力を身に付けることになります。これが「獲得免疫」と呼ばれるものです。
カラダは、はしかや水疱瘡などに一度かかると、その病気に対する抵抗力を完成させます。こうなれば、その病気に二度とかからなくなります。

●カラダには、いくつものバリアがあります。

カラダには外からの敵の侵入を防ぐためのバリアが備わっています。カラダの表面を覆う丈夫な皮膚も、その一つです。健全な肌からは、敵が侵入することはできません。
目の表面は、結膜という透明な膜で保護されています。ここは皮膚より弱いが、万が一の時は目をまぶたで隠すことができます。さらに、涙で洗い流すことも可能です。
空気の中に含まれるウイルスや細菌は、鼻や器官で捕まえて、肺の奥深くまでは侵入させません。分泌物で敵を捕まえて、ハナミズやタンという形で外に追い出してしまいます。
また、食べ物の中に含まれている敵は、胃の中で強力な胃酸によって殺菌され、それより奥に侵入することはできません。
しかし、皮膚にケガをしていたり、体調が悪かったりすると、時にはバリアが破られてしまうことがあります。すると、外敵がカラダの中へと侵入してしまうのです。
こうなったときが、いよいよ免疫力の出番です。カラダの中に「非常事態宣言」が発令され、防衛部隊が出動します。

●バリアが破られたら、防衛部隊が出動。

外敵からカラダを守っているのは、白血球という細菌です。白血球は血液の流れに乗って、つねに全身を循環しながら敵を監視。また、それぞれの臓器に定着した専任の監視役もいる。そして、カラダのどこかで何か異変が発生したら、ただちに集結し、これを鎮圧しようと動き出すのです。
白血球は、一種類だけではありません。本物の軍隊が陸・海・空に分かれているように、白血球もその働きによって大きく三種類に分けられます。
情報を収集しながら戦いの指揮を執る「マクロファージ」は、いわば軍隊の指令本部。実戦部隊は、「顆粒球」と「リンパ球」の二部隊です。「顆粒球」は、カラダに侵入してきた外敵を飲み込んで自爆する第一次防衛隊の役割を果たしています。
一方「リンパ球」は、主にウイルスやガン細胞など特殊な敵に対して、ハイテクを駆使して戦う繊細な部隊といえます。
この司令本部と、二つの実戦部隊が連携しながら、24時間体制であなたのカラダの平和を維持しているのです。