サーカディアンリズムって何?

■サーカディアンリズムって何?

 本来、人間は目覚まし時計がなくても、朝になると目覚め、夜になると眠くなるようにできています。食事の時間もほぼ決まっている。しかし人間は、毎日のように同じようなリズムで生きようと確固たる意志を持って努力しているわけではありません。特別に意識しなくても、自然に毎日が同じようなリズムになるのです。これは、人間の体内に時計が存在するからに他ならない。この時計は「体内時計」と呼ばれます。

 渡り鳥を見れば、鳥たちも1年のリズムをコントロールする体内時計を持っていることは容易に理解できます。人間もさまざまな種類の体内時計を持っているが、睡眠にもっとも関係するのは、やはり1日のリズムをコントロールする体内時計です。

 体内時計は、人間のカラダのさまざまな部分をコントロールします。例えば、体温です。人間の体温は、午後から夕方にかけての時間帯が一番長く、それから、徐々に低くなり、眠くなる深夜11時から12時ごろにかけて一段と低下します。そして、午前4時ごろが一番低くなり、その後上昇していく。体温が高いときは目が覚め、体温が低くなると眠くなります。体温は人間の覚醒と睡眠に深くかかわっています。

 人間は昼に活動するから体温が上がるのではなくて、昼に体温が上がるようにできているから、活動できるのです。もっとも、24時間活動する現代社会では、人間は昼に起きて夜眠るのが自然だといっても、理解できない人がいるかもしれないが・・・・・
 このように1日のリズムをコントロールする体内時計のことを、「サーカディアンリズム」といいます。

 「サーカ」はラテン語で「約」の意味、「ディ」は「日」の意味だ。つまり、「サーカディアンリズム」とは「約1日のリズム」という意味になります。別名「概日リズム」とも呼ばれています。鋭い人は、お気づきの事と思います。なぜ、「約」なのか。これがサーカディアンリズムのポイントともいえる点です。

 人間の1日のリズムを詳しく研究した結果、人間の体内時計は1日25時間の周期で動いているということが分かってきました。何と24時間ではなかったのだ。だから「サーカディアン(約1日)」なのです。

太陽の光で目覚めよう。

 サーカディアンリズムは25時間周期。一方、1日は24時間。1時間のズレがあります。そのままにしておけば、毎日1時間ずつズレていくことになります。カラダの中では25時間の体内時計があり、外では1日24時間の社会が回っているのです。

 しかし、そこは人間の持っている社会的な適応力、というか底力というか、「起きなければ遅刻する」と自分で体内時計を毎朝リセットしているのです。毎朝同じ時刻に目が覚めるように、1時間のズレを自然と調整しているのです。つまり、日常生活とカラダのリズムが多少違っていても、同調して暮らせるように、リセットする機能も体内時計には備わっているのです。

 ところが、夜遅くまで起きていたり、不規則な生活をしていたりすると、このリズムが狂ってしまいます。起きられない、だるい。頭痛がする、夜寝つきにくいなどの睡眠障害となってしまうのだ。体内時計のリズムを保つには、朝起きて太陽の光を浴びることが大切です。朝の光が信号となって脳の視床下部のある視交叉上核に伝わると、体内時計をリセットしようとする働きが活発になるからです。太陽の光はカラダを目覚めさせる強い見方なのです。

ライター:宮﨑 健爾