美肌の敵・タバコと発癌性

肺がんの罹患率の増加は喫煙によるものです。タバコが肺がんのみならずその他のがんの原因になるのはよく知られています。タバコをやめると肺がんを患う危険性は非喫煙者と同等まで改善されます。しかしタバコを吸わない人も安心できません。例えば夫の家庭内での喫煙が、非喫煙者である奥様の肺がんのリスクを上げていると言う報告は以前からありました。

タバコを吸う人は悲しい報告やけど、吸わない周りの人にも影響があるねん!

1965年、平山チーム〈国立がんセンター〉の研究は、約260,000人を対象に喫煙を始めとした生活習慣病について調査を行いました。その後17年間にわたって生死と死亡した場合の死因追跡研究を行ったのです。タバコを吸わない奥様の、肺がんによる死亡率を旦那さんの喫煙本数により、グループ分けして比べてみると、タバコを吸わない女性でも、夫の喫煙本数が多くなればなるほど、肺がん死亡率が高まり、もし夫が1日1箱以上タバコを吸っていると、妻の肺がん死亡率は約2倍になると言う結果でした。

妻の肺がん死亡率約2倍!・・・

受動喫煙の被害は深刻です。奥様が怖い顔で「家の中では吸わないで」とおっしゃるのはもっともな要求です。日本では公の場で喫煙対策が少しずつ進んでいますが、受動喫煙による被害も相当深刻な状態といえます。

唐突な話ですが、原爆とタバコを同列に比較する事は適切では無いかもしれませんが、タバコと原爆による放射線被爆のどちらの原因でがんになるリスクが高いかと聞かれれば、ほとんどの人は原爆と答えるでしょうが、実際は喫煙者ががんになるリスクは、爆心地から1キロ以内で原爆に被爆した人が、がんになるリスクと変わらないのです。原爆で生き残った方々の癌のリスクと喫煙者のリスクが、数字上では同じと言うことなのです。

タバコのパッケージには、タールとニコチンの含有量が記載してあります。あたかもそれさえ気をつけていれば、大丈夫かのごとき錯覚を抱かせます。ところが1993年の厚生白書では、タバコの主流煙中の化学物質は、4000種類、現在分析されているだけで300から400の化学物質の内、約60種類が発癌物質です。

60以上の発がん物質!?本当に怖いですね。

発がん物質の多くは体内で活性型に変化し、細胞内のDNAと結合してDNA付加体を形成し、DNAが複製されるときに遺伝子変異を引き起こします。

体内で発癌物質が活性化したり、解毒されたりするときにはいろいろな酵素が関わっています。これらの酵素の働きには栄養状態や遺伝的な体質が関連しています。

また、できたがん細胞を異物として認識し排除するのに免疫が関わっています。こうした遺伝子変異が、癌遺伝子、がん抑制遺伝子、DNA修復遺伝子、などに蓄積することによって細胞が癌化すると考えられています。恐ろしいことに喫煙者にできた肺癌細胞には、K- rasと言われる癌遺伝子やp53などのがん抑制遺伝子に変異が多く認められます。

こうした遺伝子変異を多く伴う喫煙者の肺がんは非喫煙者よりも悪性度が高いことが知られています。タバコの煙の中には、癌の細胞を作る働きをするイニシエーターと、癌の増殖を促進するプロモーターの両方が含まれています。

その他多くのタバコには、ヒ素、カドミウム、一酸化炭素、DDT、メタノール、トルエン、塩化ビニール、などが含有されていることが知られています。これらの化学物質が、もしも食べ物に混入していたとするならば・・・

それでもあなたはこれを食べますか?・・・私は吸えません。吸えません。

(某・免疫研究所)医学博士・談